2013年1月24日木曜日

書評: 結果を出すリーダーはみな非情である

ぜひ出世をしたい!と考える世の課長がおさえておくべきポイントをまとめた本だ。

結果を出すリーダーはみな非情である


タイトルは刺激的だが、内容は至極まっとう・・・そしてある意味、一般的とも言える。「どこかで耳にしたことのあるな・・・けれど、すっかり忘れていたな」・・・そんなメッセージに出会うこともチラホラ。たとえば、著者が謳うポイントの1つに「ミドルマネジメントであっても、常に社長のように考えろ」というものがある。これは10年前のわたしが当時の上司からまさに言われたことだ。このほかにも「失敗をたくさんしろ」「論理性を持ちつつ、情に訴えるコミュニケーションをしろ」といったメッセージが続くが、どこか聞き覚えがある。

 
【本書の目次】
第一章 なぜ若いうちからリーダーシップが必要なのか
第二章 現実を直視する: 日本と日本企業と「ニッポンンの課長」の命運
第三賞 リーダーシップの条件1 論理的な思考力、合理的な判断力が不可欠である
第四章 リーダーシップの条件2 コミュニケーションは情に訴え根負けを誘う
第五章 リーダーシップの条件3 実践で役立つ戦略・組織論を押さえる
第六章 リーダーシップの条件4 評価し、評価されることの本質を知る

先の例や上に示す目次からも推察できるように、本書が挙げるポイントは、基本的なことばかりだ。ゆえに、課長職・・・それも課長職になりたて・・・やさしい初心者向けの本といった感がある。ちなみに、ターゲット層ではない、わたしには響くところがあまりなかった。それは著者のせいではなく、タイトルだけ見て購入してしまった、わたしのせい・・・だ。

買おうかどうか迷っている人は、タイトルではなく、上に挙げた目次を見て・・・そしてできれば書店でぱらぱらっとめくってみて、自分に響きそうな言葉があるかどうか・・・その上で購入するかどうかの意思決定をしてほしい。

余談になってしまうが、私がこの本の中で最も印象的だったのは、社長と社長が暴走しないための法規制を、スポーツカーに例えた話だ。著者曰く、よく曲がりスピードが出る車を運転しているのが欧米の社長。だから、社外取締役やSOX(内部統制)といった”ガバナンス”という名の強力なブレーキを効かせて、社長をけん制する必要がある。ところが、日本の社長は、そもそもよく曲がりもせず加速力もない車を複数人で運転しているようなもの。必要なのは、車がもっと加速し、曲がる仕組みなのに、そんな鈍くさい車に欧米スタイルのブレーキを入れようってんだからお門違いだ・・・とのこと(日本にもオリンパスや大王製紙など、トップが暴走した例はあるが、それは極めてマイノリティだと著者は一蹴している)。

確か、最近わたしが気になっている、デフタパートナーズグループ代表、アライアンスフォーラム財団代表理事の原丈人(はらじょうじ)氏も、同じ理由で、米国から輸入されたSOX法(内部統制)なんて廃止しちまえ・・・と言っていたように思うが、冨山氏のこの喩えはとてもわかりやすく、感動をおぼえた。




【関連書籍】
MBA流チームが勝手に結果を出す仕組み(若林計志著)

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