2013年5月9日木曜日

書評: 「はじめての積立て投資1年生」ほか1冊

今回は、比較的狭い分野に限定された本であるだけに、読んだ2冊をまとめて紹介させていただく

忙しいビジネスマンでも続けられる毎月5万円で7000万円つくる積立て投資術
著者: カン・チュンド
出版社: 明日香出版社


はじめての積立て投資1年生 ~1万円からコツコツはじめて増やせるしくみがわかる本~
著者: 竹内弘樹 (監修:尾上堅視)
出版社: 明日香出版社



■リターンが低いのもリスクが高いのも嫌!というわがままな人向け投資術解説本

初心者向け積立て投資術の本である。なお、積立て投資術とは、”投資信託”と呼ばれる金融商品を使って、コツコツ上手に貯めて子金持ちになりましょう・・・というテクニックのこと。また、投資信託とは、(誤解を恐れず、私流にわかりやすく表現すると)FXほどハイリスクハイリターンでもなく、株式ほどミドルリスクミドルリターンでもなく、普通用金や定期預金ほどローリスクローリターン※でもない・・・言わばちょいミドルリスクちょいミドルリターンのような金融商品のことである。株式やら債権やら・・・個々にそれぞれを見ればリスクが高いものも、色々と組み合わせて福袋化することで、適度なリスクで適度なリターンを見込めようになる・・・そんな発想から作り上げられた商品のことだ。

ちなみに私はFXに手を出したことがあるが、20万円を専用口座に振り込んで最初の1ヶ月で10万円儲けた。ただし、翌月には13万円を失い、トータルで3万円のロスになった。こちらは投資信託に比べて、まさにハイリスクハイリターンの商品と言える。

※普通預金は元本割れを起こさないという点でノーリスクだが、貨幣価値そのものを減少させてしまうインフレに対してはノーリスクですまないので、あえてローリスクという言い方をさせていただいた

■わかりやすさの中にも、違いあり

各本の特徴について述べたい。「積立て投資術」は、”超”がつくほどシンプルさが際立つ本だ。理由は、読者が明日から何をすればいいか・・・明確な道筋を示しているからだ。無数にある積立て信託を行うための窓口会社の中から、具体的に4つの会社の名前を挙げている。それだけでない。買うべき投資信託の種類までほぼ特定している。さらに、著者はあくまでも”一例”とエクスキューズしているものの「毎月5万円で7000万円つくる」というゴール設定まで、読者の代わりにしてくれている。見出しの一部になっていることからもご理解いただけるハズだ。「選択肢を提示されてもよく分からない!」というとことん甘えん坊の読者は、とりあえずこの本の著者が言うままに、推奨する窓口会社で、推奨された商品を買う・・・そんな感じになるだろう。

「はじめての積立て投資1年生」は、同じく、わかりやすさという点と、このあたりを買えばいい・・・というおおよその方向性を示してくれているのが特徴的だが、「積立て投資術」に比して、幾ばかりかの選択肢を読者側に残している。だからだろう。もう1つの特徴には、実際に投資信託の種類を選択する場合の判断材料になる投資信託説明書の読み取り方や、インターネットで投資信託を購入するための操作方法を、実際のマネックス証券の画面を例にとりながら、解説してくれている点が挙げられる。

ちなみに、私自身、なぜこの2冊を買ったのかと言えば、やはりAmazonでの評価が高かったからだ。で、読んでみてどうだったかと言えば、その評価は妥当だったように思う。特徴を述べる際に触れたように、これらの本を読めば、投資信託を理解できるだけでなく、明日から具体的にどうすればいいか・・・その答えを得ることができる。

■投資信託に既に何らかの興味を持っている初心者にこそオススメ

では、最後にこの本の対象読者は誰か? 以下のいずれかに合致する人は読むべきだろう。言い換えると、”積立て投資術”に興味のない人は読むべき本じゃないし、興味がある人は読むべき本だと思う。

・投資信託が、何なのかを知りたい
・とりあえず投資信託を、気軽に始めてみたい
・何も考えずに投資信託を始めたが、きちっと理解しておきたい

わたしの場合は、3つめが当てはまるが、この本を読むことで不景気のときにこそ投資信託をやるべきという意味をようやく理解することができたし、投資信託の窓口会社の良し悪しの判断の仕方も理解できた。その意味では、これらの本を買ったのは正解だった。

  

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